HARLEY-DAVIDSON
NIGHTSTER
“JST”COMPLETE CUSTOM
米国HARLEY-DAVIDSON本社が世界各国から厳選した6名のカスタムビルダーが
新型NIGHTSTERを自由にカスタムする『NIGHTSTER カスタムプロジェクト』にHIDE MOTORCYCLEが参加。
そこで誕生したカスタムバイク“JST”をベースとしたコンプリートバイクを製作しました。
米国H-D社主導のプロジェクトから
生まれた
珠玉のNIGHTSTERカスタム
事の発端は米国HARLEY-DAVIDSON本社(以下H-D社)が2022年のニューモデル、NIGHTSTERのデビューと同時に企画した「NIGHTSTER® カスタムプロジェクト」。
プロジェクトは、H-D社が世界から6つのカスタムショップを選抜し、NIGHTSTERをベースに自由な表現によるカスタムを依頼した内容であり、HIDE MOTORCYCLEは日本から参加する唯一のカスタムビルダーとして選出された。そこで、HIDE MOTORCYCLEが製作したカスタムバイクが“JST”と名付けられた、ストリートトラッカーをイメージした1台だ。JSTは、完成後日本のメディアに向けたお披露目を終えてすぐにアメリカに渡り、6月には世界最大級のオールドスクールチョッパーショー『BORN FREE』に招待された。
西海岸のチョッパーフリークたちにとって最高峰の舞台で晴れて本国デビューを迎えたというわけだ。タンクカバーからシートカウルまで1ピースで作り上げたアルミ製エクステリアのデザインや、フラットトラックレーサーをモチーフとしながらもストリートの走りを意識したスタイルは世界中のチョッパーフリークが集うBORN FREEにおいても異彩を放っていたことだろう。その後は、全米のH-Dディーラーを行脚し、H-Dミュージアムに展示される予定となっている。
本国のH-D社が日本人ビルダーを指名してプロジェクトを共に遂行するのは今回が初めて。それは、HIDE MOTORCYCLEのカスタムビルドにおけるセンスとスキルが認められた事、また、日本のH-Dカスタムのシーンに本家の目が向けられた事実の証明でもあるのだ。
“JST”コンプリートカスタム
オーダー始動
そして、HIDE MOTORCYCLEの代表富樫氏はJSTの製作を進めながら、このプロジェクトの続きを計画していた。“JST”はエクステリアをアルミ板からハンドメイドで作り上げた世界に1台のカスタムバイクだが、その複雑な造形をグラスファイバーボディによって再現するコンプリートバイクの展開である。オリジナルのJSTをベースとした三度の型の製作、修正を経て、ついにJSTの真骨頂と言えるアルミボディの独特の括れや膨らみといった抑揚、造形を完全に再現することに成功。これまでに100台以上のスポーツスターカスタムを手掛けたHIDE MOTORCYCLEのカスタムメニューに、新たにNIGHTSTERベースの“JST”コンプリートカスタムが加わった。独自のグラスファイバーボディとリアフレームを採用したキットバイク的な仕様だが、パーツ単体が販売されることはなく、あくまでもセミオーダーによって一台一台製作を進める。つまり、本国H-D社とのプロジェクトから生まれた珠玉のカスタムバイクのスタイルをベースに、ペイントや細部のオプションをセレクトして、自分好みの“JST”コンプリートカスタムをオーダー可能だ。
いつの時代もストリートのカスタムの多くは、その時代の潮流やベースモデルの特性など、カスタムビルダーたちの研究や試行錯誤が繰り返された結果ブラッシュアップされてきた。しかし、メーカーが主導するプロジェクトと日本のトップビルダーの化学反応によって、デビューしてまもないNIGHTSTERにとっての最高峰のカスタムの選択肢が早くも日本から誕生したというわけだ。
Concept
イメージソースは1990年代から2000年代、
日本のストリートを席巻した
“ストリートトラッカー”
新型NIGHTSTERのカスタムを手がけるにあたって、HIDE MOTORCYCLEとして掲げたテーマはフラットトラッカースタイルをベースとすること。スケッチを何枚も描きながら、理想とするスタイルを煮詰める作業をプロジェクトの最初に行いました。フラットトラックレースはアメリカに旧くから浸透する象徴的なレースです。しかし、イメージしたのはフラットトラッカーとは言ってもリアルなレースバイクではありません。自分たちが本気でフラットトラックレースをやっているわけではないので、リアルなフラットトックのレースバイクは親和性がありません。
そこで、私たちが目指したのは、1990年代から2000年代、日本のカスタムシーンから生まれた“ストリートトラッカー”をイメージソースとして、そこにHIDE MOTORCYCLEの手法、エッセンスを加えて、NIGHTSTERの新たなカスタムバイクを完成させること。
日本においては当時のスタイルが現在に続くストリートのカスタムシーンの火付け役となったことは明白であり、日本のH-Dカスタムカルチャーの礎にもなっていると考えているからです。新しいスポーツスターエンジンの優れたレスポンスを活かすために、乗車姿勢を積極的な操作を可能とするコンパクトなポジションに変更し、本来のスポーツ性能を引き出してストリートの走りを楽しめるようにデザインしました。
NIGHTSTERはフレームもエンジンも、OHVエンジンを搭載したこれまでのスポーツスターとは異なる新設計。スポーツスターのカスタムを100台以上手掛けてきた私たちにとっても未知のベースモデルでした。HIDE MOTORCYCLEのスポーツスターカスタムの定番である手法がことごとく使えない中で、都会の喧騒を軽快に駆け抜けるトラッカースタイルのカスタムを作ることを意識しました。
また、JSTではメインフレームには手を加えないことを早い段階で決定しました。それは、光栄にもメーカーから依頼を受けたプロジェクトであることを踏まえてベースモデルの原型を活かしたカスタムを作りたかったことがまずひとつ。さらに、全てに手を加えるフルスクラッチであれば当然ノーマルから大きく雰囲気を変えることができますが、車体の基本骨格を残した上でパーツのデザインによって姿を変える事の方が今後のNIGHTSTERユーザーへ夢を与える車両になると考えたからです。そして、結果的にそのコンセプトがコンプリートカスタムの展開へと繋がりました。
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EXTERIOR
外装
JSTのカスタムの肝であるタンクカバーからシートカウルまで一体成形したエクステリアは1960〜’70年代のTracy’ Fiberglass Worksのボディ、通称トレーシーボディがモチーフ。トレーシーボディは曲線を基調としたシルエットですが、JSTのボディは最初にスタイロフォームで基本骨格を造り上げてから粘土を載せて細かなラインを造り込み、それをベースにアルミのシートメタルから叩き出して成形。さらに、ある程度カタチになったところでバラして、面の構成を変更するために部分的に切り取り、追加する工程を繰り返してエッジや曲線が入り乱れる造形を完成させました。そして、ボディの膨らみや絞り、エッジをカスタムペイントによって強調。JSTコンプリートカスタムでは、ハンドメイドによって生み出された複雑な造形をFRPで完全に再現しています。
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RADIATOR COVER
ラジエーターカバー
オリジナルJSTのラジエーターカバーはアルミ板を叩き出して成形したハンドメイドのパーツですが、あえて純正パーツのようなマットな質感に仕上げました。全てのディテールを強調するのではなく、黒子は黒子に徹することでトータルのデザイン性が引き立つバランスを意識しました。コンプリートカスタムでは、ラジエーターカバーもFRPで造形を再現しています。
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FRONT COWL
フロントカウル
フロントカウルはラジエーターの存在感とのバランスを考慮しつつ、ハンドメイド特有の立体的な造形に加え、幅を変えたラインや配色によってコンパクトに見える効果を狙っています。フォークに巻きつくようなデザインは、H-Dのトラディショナルなディテールであるナセルをイメージすることによって、モダンなデザインの中にノスタルジックな要素を強調しました。
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REAR SECTION
リアセクション
日本のバイクシーンから生まれたストリートトラッカーのスタイルを意識して、リアセクションはサブフレームを製作し、リアサスペンションの位置を約15cm前に移設することで外観上のボリューム感を軽減。スイングアームが長く見える視覚的効果を狙っています。
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SILHOUETTE
シルエット
タンクカバーからシートカウルまで流れるようなラインを描くシャープなシルエットのエクステリアはHIDE MOTORCYCLEが過去のフルカスタムでも象徴的に採用してきたスタイルですが、新型ナイトスターは空冷エンジンのスポーツスターと異なり、エンジンの前に大きなラジエーターを備えるので、前から見た際のボクシーなシルエットを計算したデザインとなっています。
“JST”
COMPLETE
CUSTOM
¥3,000,000〜Tax not included.
セミオーダーで一台一台製作します。
H-D社とのプロジェクトから生まれたJSTをベースにペイントや細部のオプションを変更して、自分好みの
“JST”コンプリートカスタムをオーダーすることが可能です。
ご興味のある方・オーダーをご希望の方は以下からご連絡をお待ちしております。
ベース車両代別途/ベース車持ち込み可